2013-09-06

是枝監督の演出術

先日あるテレビ番組に「そして父になる」の是枝監督がでていて、何気なく観ていたら、どうやら即興で演出の実演をするとのことで慌てて録画した。例えていうなら、ミュージシャンが即興で曲を作るようなものかな(違う??)。
シナリオと役者は決まっていて、その番組のディレクターと是枝監督が、それぞれ演出をつけるというもの。
設定は家庭の夕食時の会話で、最後に男の子がダイニングから出て行ってしまうところで終わる。
シナリオでは、家族の会話が食卓でお互いに向き合ってすすむところを、是枝監督はかなり台詞をカットして、そもそもお母さんが何か台所でやってたりとか、登場人物が何かをしながら喋るという、考えてみたらまさに普段僕たちが行っているように登場人物が振る舞っていて、まずそこになるほどねと感心した。
また、台詞の変更の仕方にしても、例えばお姉さんが通信簿を褒められる場面で、「ほとんど5だね」ではなく「体育は4だったね」と言えば残りは5であることがおのずとわかるような台詞に変更していたことが印象的だった。
また、子供などいわゆるプロの役者でない人を演出する場合は、台詞を覚えさせるというよりは、設定だけ説明してその感じで動いてもらうようにしているそうだ。そして芝居中にも指示を出して、かなり即興な感じでやっているそうだ(「私もそうだった」と同じく番組に出演していたYOUが言っていた)。そうすることで自分の間でしゃべるようになるし、相手の台詞も聞くし、とのこと。やりかたとしては、ドキュメンタリーを撮るような手法なんですね。できあがると、「人間がたってくる」とのこと。
この映画のテーマも、自分が仕事のためなかなかお子さんといることができず(あるとき仕事に出かけるときに「いってらっしゃい」ではなく「またきてね」と言われたそうだ)、そういう自分の身近なことをモチーフにしたそうです。その感覚はわかるなぁ。僕は父親がいなかったもんで、今は父親として精一杯子供と一緒にいたいなと思う。
そういったところも含めて、いろいろ共感してしまった。映画観てみたいと思う。